しゅうれい@阿闍梨の創作童話

しゅうれい@阿闍梨の創作童話

 
 
 

魔法の森にクローバーという妖精が住んでいました。クローバーはとても可愛い妖精でしたが、羽が四枚ありました。森の他の妖精たちはよく彼女をからかい、「四つ葉のクローバー」と呼んでいました。


クローバーはからかわれても気にもじないで、自分の四枚の羽が特別な魔法の印であることを知っていました。ある日、クローバーが森の中を飛んでいると、助けを求める声が聞こえてきました。


彼女は音をたどり、小さなウサギが罠にかかっているのを見つけました。クローバーは魔法を使ってウサギを罠から逃がしてあげました。ウサギの傷を負った足も魔法で癒しました。 ウサギはとても感謝して、


「クローバーちゃん、ありがとう!あなたが困ってときには私も。あなたを助けます」とクローバーに約束しました。


それから間もなく、森の王様は季節の変わり目を祝う大舞踏会を開催すると発表しました。森の妖精たちは全員が招待され、最も美しい花を舞踏会に持ってきた妖精に賞品が贈られることになったのです。


クローバーも、美しい花を探すために森に出かけました。彼女は森の中を飛びまわって花を探しまた。でも、他の妖精たちが摘んだ花よりも美しい花は見つかりません。


クローバーがあきらめかけていたその時、罠から逃がしてあげたウサギが現れました。ウサギはクローバーに、他の妖精たちに気づかれないように、そっと小声で、

「森の奥深くにある秘密の花園でしか育たない魔法の花を知っているよ」と囁きました。


でも困ったことがひとつあったのです。それは秘密の花園が真っ赤な炎を吐くドラゴンによって守られていたことでした。クローバーはためらいましたが、ウサギが自分と約束をしてくれたことを思い出しました。


クローバーとウサギは秘密の花園へ、魔法の花を摘みにいく旅に出たのでした。クローバーとウサギは秘密の花園に着くと、ウサギが言ったように獰猛なドラゴンに出会いました。


クローバーは魔法を使ってドラゴンを魅了し、ドラゴンを眠らせてしまいました。
クローバーとウサギは秘密の花園で、今まで出会ったこともない美しい花を見つけました。


その花は、クローバーの羽のように四枚の葉があり、まばゆい光を放っていました。クローバーは、この花が舞踏会で優勝するための花だ!と思い、その花を摘んで冠を作りました。


クローバーとウサギが花の冠を手に秘密の花園を出ようとすると、困ったことに眠りから覚めたドラゴンが再び現れたのです。


ドラゴンは、クローバーが勝手に花を摘んだことを知って、とても怒り出し、口から炎を吐いてクローバーとウサギを焼き殺そうしました。


クローバーは再び魔法を使って、今度は眠らせるのではなく、ドラゴンに「秘密の花園の美しい花を、もっとたくさん摘んで私と一緒に舞踏会にいきましょう!」と説得したのでした。


舞踏会のその日、クローバーの花冠の美しさと、クローバーがドラゴンを飼いならしたことに、他の妖精たちは驚きました。森の王様は、クローバーに舞踏会の優勝者であると宣言したのです。


王様はクローバーの四枚の羽と優しく勇敢な心が、魔法より効果のあるものだと知っていました。その日から、森の妖精たちはクローバーをからかうことをしなくなり、代わりに、クローバーの勇気と優しさを讃えるようになりました。


クローバーはと言えば、たとえ自分が他の妖精たちと、どこか違っていても、卑屈にならずに自分自身の個性を認めることで、他からも認められ、愛されることを知ったのです。

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