病者加持秘法とは!

修験道における病者加持法は、病気に苦しむ者のために修法者が仏の力を請じて加持祈祷する修法です。目的は、病の平癒、心身の浄化、福徳の増進です。
修験道当山派恵印法流「病者加持法」次第
一、道場荘厳、道場作法
掃浄
道場を清掃し、香を焚き、塩水・香水などで浄化。結界
結界を張り、外からの邪を遮断する。金剛界四方結界印を結び、真言を唱える。道場荘厳
本尊を安置し、供物(灯明、香、花、水、飲食)を供える。
二、前方便
三礼(三帰三竟)
本尊、三宝に三度礼拝し、三帰依を行う。発菩提心、受菩薩戒
病者の安寧を願う菩提心を起こし、清浄な意志で修法に臨む。懺悔文唱誦
病の原因となる罪障を懺悔し、病者の浄化を祈る。
三、観想
本尊観
心を静め、本尊(例、薬師如来)を観想する。印明結誦
本尊の印を結び、真言を唱える。
例、薬師如来真言
「オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ」五供養
香、花、灯明、飲食、などを捧げ、仏の加護を請う。護摩供(行わない場合もある)
護摩壇を設け、火中に護摩木を投じて病平癒を祈願する。加持(病者本体または身代わり)
病者の体に加持を施す(触れずに印を結び、加持水や加持符を使うこともある)。
印、薬師印、不動明王印、または通用印(如意輪印など)
真言を繰り返し唱えながら加持(21遍、108遍など)護符、淨塩、加持水などを授与
病者に加持済みの加持水や淨塩、護符を授与する。
四、回向
廻向文
修法の功徳を病者や一切衆生に回向する。
例、「願以此功徳、普及於一切、我等与衆生、皆共成仏道」諸讃、三礼
仏、法、僧に感謝を表し、三礼をもって修法を締めくくる。解結界
修法後、結界を解いて道場を閉じる。
補足
本尊は目的や病状によって変える(例、薬師如来、准胝観音、不動明王、大日如来など)
病者本人が同席できない場合は、写真や身代わり人形、衣服などを代用する。
修験者は灌頂を受け、印明、護摩法などに通じた資格が必要です。
修法は一回で済むこともあれば、七日間、二十一日間の連続修法を行う場合もある。